クリニックからのお知らせ

■★60代からのうつ★
60代は、定年や仕事の一線からの引退を境に、社会への立場や人間関係が変わり、
家庭では子どもが巣立ち、代わって親の介護が始まるなど、環境の変化が大きい
時期です。健康面でも、体力の衰えを感じ、糖尿病や高血圧などの慢性疾患、脳卒中
や心臓の病気、がん、関節疾患、認知症など気になる病気が増えてきます。
こうしたことが大きくのしかかり、心が疲れてしまうと、誰でも気分が落ち込みますが、
その状態が続き、さらに強くなるとうつ、うつ状態、抑うつと呼ばれる状態になります。
そして、医療機関を受診してうつ病と診断された場合は、適切な治療が必要です。
そこには個人の体質的素因(なりやすさ)、性格などに加えて、育てられ方や家族のあり方、
人間関係、働き方や職場環境、価値観など、時代とともに変化するさまざまな社会的な
環境要因が複雑に絡み合っていると思われます。うつの初期の頃には、疲れやすい不眠、
食欲がない、わけもなくイライラするなどの不調を感じますが、しだいに感情・思考・意欲
の精神面での活動が低下してきます。ただし、高齢になって全般に活動性が低下してくると、
こうした典型的な症状が揃っていなかったり、症状はあっても目立たずに、見逃されること
も少なくありません。検査で異常がないことから、うつを疑って精神科に紹介され、診断
されることもあります。不安・焦燥感が強いのも、中高年のうつの特徴です。このような
不安・焦燥感が非常に強くなると、自殺につながることも。周囲がそんなことはない、
だいじょうぶだといっても、本人は病気だという自覚がないので聞く耳を持ちません。
また認知症とうつを合併していることも少なくありません。特に認知症との区別は重要で、
うつを患っていると認知症になりやすく、また認知症にはうつを伴いやすいといわれています。
うつ病は、早期に発見して治療を始めることが大切ですが、本人から訴えないことも多いので、
家族が言動やようすの変化に気づくことが大切です。いきなり精神科や心療内科に行かなくても、
まずはかかりつけ医を受診しましょう。内科の先生であれば、症状に応じて抗うつ薬や抗不安薬
などを処方してくれます。そこから専門医につなげてもらうとよいと思います。
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