クリニックからのお知らせ

■★ピロリ菌の除菌★
胃は、食物を消化するために消化液(胃液)を分泌していますが、その中に含まれる塩酸に
よって、内部は非常に強い酸性になっています。そのため、多くの細菌やウイルスは殺菌され、
ふつうは生存できません。しかし、ピロリ菌は、自らが持つウレアーゼという酵素を使って
胃酸を中和し、生存できる環境を作ることで胃の粘膜に住み着く特異な菌です。5歳以下までの
幼少期の経口感染がほとんどで、直接の証拠はありませんが、糞便に汚染された水や唾液からの
感染、特に多いのは、ピロリ菌を持っている親が離乳食などを口移しで与えることによる感染で
あろうといわれています。日本では環境衛生が不十分だった戦後にかけて育った65歳以降と、
その親子間感染による45歳以降で感染率が高く、衛生環境がよくなった現在では若年者の
感染は減少しています。胃・十二指腸潰瘍、胃がん、胃マルトリンパ腫、萎縮性胃炎、一部の
胃ポリープなどをはじめ、日本の胃の病気の80%はピロリ菌感染が原因で起きるといわれています。
胃・十二指腸潰瘍での感染率は80%以上で、胃がん発生リスクが高い慢性萎縮性胃炎も、ほとんどは
ピロリ菌が原因です。慢性萎縮性胃炎は、以前は胃粘膜の老化と考えられてきましたが、ピロリ菌に
感染しなければ、ほとんどは起こらないことがわかりました。胃がん発生との関係も、ほぼ明らかに
なっています。胃の病気のほかに、特発性血小板減性紫班病でも、ピロリ菌を持っている患者さんで、
ピロリ菌除菌後に血小板の数が増えてくることがあることがわかりました。除菌療法は、胃酸分泌
抑制薬と2種類の抗生物質を7日間服用します。胃潰瘍・十二指腸潰瘍は、ピロリ菌を除菌する
ことで・・・発生率は大幅に下がります。胃マルトリンパ腫も、除菌にによって高い確率でリンパ腫が
改善します。内視鏡で病巣を取った早期胃がんの残りの粘膜に対して除菌療法を行うことで、
さらなる胃がん発生の予防効果があることも証明されました。また、過形成性の胃ポリープに対して
除菌を行うと、ポリープが小さくなることもあります。胃の不調が長期間続いているひとは、
一度かかりつけ医に相談してみるとよいでしょう。
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