クリニックからのお知らせ

■★ウィルソン病★
ウィルソン病は、食事からとった余分な銅が体の外へ排出されず、肝臓、脳、
角膜、腎臓などにたまってしまう病気です。ふだん意識することは少ないと
思いますが、私たちは、毎日の食事や嗜好品から微量の銅を摂取しています。
食事や嗜好品からとった銅は十二指腸から小腸で吸収され、その一部は脳や
骨髄など銅を必要としている臓器に取り込まれ、大部分は肝臓へ運ばれます。
銅は肝臓の中でもセルロプラスミンというたんぱく質と結合し、再度血液中に
流れ出ます。過剰な銅は、肝臓から胆汁を経て尿や便に混じって体外へ排出
されます。ところで、ウィルソン病の人は肝臓から胆汁への銅の排泄機構が
障害されているため、肝臓に銅が蓄積してしまいます。また、肝臓から血液中に
あふれでた銅が、脳、角膜、腎臓に貯まり、さまざまな症状を引き起こします。
一般的には、3〜15歳くらいのときに、肝機能障害や黄疸で眼球や皮膚が
黄色くなるなど肝臓の症状を起こして病気が発見されます。特に自覚症状はなく、
血液検査でAST(GOT)、ALT(GPT)など、肝機能が異常な数値を
示し、ウィルソン病が発見される場合も少なくありません。症状は、ロレツが
回らなくなったり、手足がふるえたり、歩くのが不便になるなどの症状が出ます。
精神状態が不安定になって、無気力になったりうつ状態になったりする人もいます。
また、眼の症状として、角膜のまわりに銅が沈着して青緑色や黒緑褐色になり、
視力が低下することもあります。カイザー・フライシャー角膜輪と呼ばれ、
ウィルソン病特有の症状です。ウィルソン病は、血液中のセルロプラスミンの量が
減少し、尿の中に銅が増えるため、血液検査によるセルロプラスミン値や尿検査で
銅の量を調べることで診断します。病気に気づかず放置すれば、これらの症状が
次第に進行して、肝不全や神経障害で寝たきりになってしまいますが、ウィルソン病は
内服薬で治療が可能な病気です。
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