クリニックからのお知らせ

■原因不明のふるえ(振戦)
手がプルプルとふるえ、箸が使いづらかったり、字がうまく書けなかったり。
そんな症状に困っている人は「本態性振戦」という病気かもしれない。
聞き慣れない病名は「原因不明のふるえ」という意味だ。
症状はふるえだけだが、生活の質の低下に悩む人は多い。
本態性は「原因がはっきりしない」という意味で、振戦は医学用語で「ふるえ」。
活動時に働く交感神経が関係するとされるが原因は分かっていない。
体がふるえる病気といえば、有名なのはパーキンソン病だ。
ふるえを理由に受診する人の多くが、パーキンソン病への不安を口にする。
だが、実際に診てみると、大半は原因不明のふるえの症状があり、
本態性振戦と診断がつくという。
パーキンソン病の発症がおよそ1千人とされるのに対し本態性振戦は
40歳以上では16人に1人に症状があるという報告がある。患者は主に中高年だ。
ふるえ方には、違いがある。本態性振戦のふるえは、手を伸ばしたときや
何かを持ったときなど、動作にともなって症状が現れる。
一方、パーキンソン病は、じっとしている時にふるえが出る。
甲状腺機能亢進症などでもふるえは出るが、専門医によって通常、
病気の見極めはさほど、難しくないそうだ。ひどく緊張すれば誰でも一時的に
ふるえることはある。しかし、本態性振戦のふるえは日常的だ。
症状が出やすいのは圧倒的に手だという。頭や声が震える人もいる。
緊張する場面で症状は強まる。記憶する時に字が乱れたり、
乾杯のときにグラスが揺れたりするのは典型的だ。
ふるえ以外に症状はなく、放っておいても問題はない。何もできなくなるほど
悪化することも、まずありません
一方で生活に支障が出たり、人目が気になったりして、生活の質が低下するのも
特徴の一つ。「人前で字が書けない」「ふるえを指摘されて恥ずかしい」。
悩みを訴える患者はあとを絶たないという。
治療は、薬による対症療法が中心だ。交感神経の働きを抑えるべータ遮断薬が広く使われる。
必ずしも薬を続ける必要はなく、医師に相談し、症状を和らげたいときだけ
飲むこともできる。ただし副作用のため、ぜんそく患者は使えない。
本態性振戦と分かったなら周りの人も本人にふるえを指摘しない思いやりが大切だ。
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