クリニックからのお知らせ

■小腸の働き
最近の患者さんを診ていると「おなかをこわした」「食べるとすぐに便意を感じる」
といった胃腸の不調を訴える人が増えている。
小腸は十二指腸に始まり空腸へとつづく6〜7メートルの管で、
消化や吸収の90%以上を担当する。小腸の表面は、輪状ヒダと呼ばれる粘膜で
覆われており、食べ物と消化液を混ぜ合わせて消化や吸収を促す。
食べ物の移送は小腸全体のぜん動運動や局所の収縮運動によって行われ、
秒速2〜2.5?の速さで大腸方面へと運ばれる。小腸の働きとして、まず消化管ホルモンが、
血液を通して、膵臓・肝臓・胆のうからの膵液や胆汁の分泌を促し、消化吸収を助ける。
次に、ぜん動運動などで食物を大腸へと運ぶ。そして、消化液である腸液を分泌する。
腸液はリラックスしている時に働く副交感神経によって分泌が促され、
緊張した状態の時に働く交感神経によって抑制される。
今夏は災害や節電によって過度のストレスを感じている人も多く、消化不良、腹痛、
下痢といった消化器系の症状を訴える患者が多いようだ。
中高年者を中心に、ビフィズス菌など善玉の乳酸菌が減って、ウェルシュ菌などの悪玉菌が小腸内で優位になっている。
腸の働きは、消化吸収だけでなく、自己免疫力にも大きくかかわるので注意が必要だ。
水分ひとつをとっても、食事量2?に対し、唾液・胃液・膵液・胆汁・小腸液・大腸液が
合わせて7?分泌される。これらの合計9?の水分は、空腸で3〜5?、回腸で2〜4?、
大腸で1〜2?吸収される。水様性の下痢で一晩に2〜3?も体重が減ってしまうのは、
水分を腸で再吸収できないからだ。暴飲暴食はもちろん禁物だが、仕事から帰った家での過ごし方が
今夏は特に大切だ。食事や入浴のほか、テレビをみる時も本を読むときも、いつも以上にのんびり過ごそう。
睡眠時間はいつもより1〜2時間多めに、散歩も運動もゆっくりペースで、すべてを節約モードで過ごす夏を勧める。

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