クリニックからのお知らせ
■卵巣嚢腫
沈黙の臓器とも称される卵巣。
腫瘍ができても、ある程度の大きさになるまで自覚症状はほとんどない。
腫瘍の多くは良性である確率が高く、うち最も多いのが「卵巣嚢腫」という。
妊娠、出産の経験がない若い女性が発症することもあり良性だからといって放っておくと
悪化する恐れもある。卵巣は子宮の両側1つづつあり、1つの大きさは2〜3センチほど。
卵巣嚢腫は、その卵巣の一部にできた袋状の腫瘍内に液体や脂肪などがたまった状態を言う。
個人差はあるが、卵巣がこぶし大以上の大きさになると、下腹部が膨らんだり、
違和感を感じたりすることもある。
一般的には症状がないので、健診などで偶然見つかる人が多い病気です。
嚢腫の部分がねじれたり破裂したりして急激な腹痛や吐き気に襲われ、
そこで初めて発症していることを知る人もいいます。
卵巣嚢腫は、その腫瘍内にたまった内容物によって、
さらさらとした水のような液体がたまる「漿液性嚢胞」、
どろっとした粘り気のある液体がたまる「粘液性嚢胞」、
髪の毛や歯、軟骨などがたまることもある「皮様嚢腫」の主に三つの腫瘍に分けられる。
このほか、卵巣にできた子宮内膜症が出血を含んで腫れた「子宮内膜性嚢胞」(別名チョコレート嚢胞)
があり、これは不妊症の一因とも言われている。
嚢腫が見つかる年代は10代〜高齢者と幅広く、その原因は分かっていない。
放っておくと巨大化することもある。
また悪性の可能性を否定するためにも、通常5?以上の大きさになると手術で治療し、
組織学的な確定診断を行う。
卵巣嚢腫と診断されたら、早めに画像診断や腫瘍マーカーの採血をして、
嚢腫の種類や悪性腫瘍の可能性などを診てもらうことが大切です
卵巣は絶えず細胞分裂を繰り返しており、その過程で悪性に転化する危険性がある。
良性の卵巣嚢腫ががん化する確率は決して低くはありません、
特にチョコレート嚢胞に卵巣がんが発生する頻度が高く、
たとえ卵巣嚢腫で良性と診断されても、定期的な観察は必要です。
腫瘍自体は超音波検査で簡単に発見できる。かかりつけ医などで超音波検査を受ける機会があれば
ついでに下腹部全体を見てもらって、早期発見につなげてほしい。