クリニックからのお知らせ

■ウオーキングの活用
秋到来、スポーツの季節だ。
運動は体力、筋力の向上やダイエットなどに効果があるのは当然として、
身体にとって運動が良い意味を、血管を鍛えるという観点から説明したい。
心臓から送り出された血液は、太い動脈から中小動脈を経て、少しずつ細い動脈、
さらに毛細血管、末梢へと進む。心臓を出た時、血流速度は大動脈で毎秒約50?、
血圧も120〜130以上とそれぞれの最大値を示す。しかし、末梢へと血液が
進むに連れて、血管はどんどん枝分かれし、毛細血管では毎秒約0.05?と、
ほとんどスピード0に近づく。このスピードで、酸素と二酸化炭素の交換や
栄養補給に効率のよい理想的な血流となる。
ここから静脈血となり、再び毛細血管から心臓へと近づくにつれて血流速度は早くなるが、
血圧はどんどん下がって下の血圧(最低血圧・拡張期血圧)を示す。
大静脈の血流速度は毎秒約15?まで戻る。心臓から送り出された血液の圧力は当然、
心臓から離れるほど弱まる。では、どうして血液は足の末端から心臓まで戻れるのか?
それは筋ポンプ作用と呼吸ポンプ作用の2つの働きによる。
筋ポンプ作用とは静脈側からの血圧に加えて四肢の筋肉運動で静脈が圧迫され、
静脈の末端側の弁が閉まり、心臓側の弁が開くこと。
この繰り返しで下から上へと血液は押し出されて戻る。
呼吸ポンプ作用というのは、吸気によって胸郭が拡大し、
胸部内圧が陰圧となり、その陰圧の大きさで静脈血心臓へ吸引されること。
ウオーキングやジョギング、サイクリングは、この下肢の筋肉を鍛え、
肺活力を増やして呼吸筋を強化する。下肢静脈瘤や高血圧の方々には、
まず、ふくらはぎを鍛える足関節の曲げ伸ばし取り入れたウオーキングを勧める。
あせらず10分単位で距離を伸ばし、信号待ちでは、足首を伸ばすストレッチを試みよう。
着るだけで運動効率を上げるコンプレッションウェアや、
体重移動するよう足底が工夫されたシューズを履くのもよい。
この秋は、血液循環で重要な帰り道を担う静脈を鍛えよう。
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