クリニックからのお知らせ

■COPD(慢性閉塞性肺疾患)
日本人の40歳以上のCOPD有病率は8.6%、患者数は530万人と推定されています。
一方、2008年の厚生労働省患者調査によるとCOPD患者は17万3千人であり、
COPDであるのに受診していない人は500万人以上いることになります。
多くの人々が、COPDであることに気づいていない、または正しく診断されていない
ことが推測されます。今回は、COPDを管理・治療していく上でのポイントとなる
末梢気道閉塞について解説します。
COPDは肺以外にも全身性の影響をもたらして様々な併存症を誘発することから、
潜在患者を少しでも多く早期発見し、治療していく必要があります。
COPD患者の日常生活で最も問題になるのは呼吸困難です。
COPDになると坂道歩行や階段昇格など、体を動かしただけで息切れを起こすため、
日常生活に大きな支障を来たします。
COPDによる呼吸困難の主な原因は、末梢気道の閉塞性障害に伴う、
肺の過膨張であることがわかっています。
COPDになると呼吸細気管支あたりの気道壁が厚くなります。
さらに、肺胞隔壁が壊れるため、細気管支の支持組織が消失し、
簡単に縮んでしまいます。すると、気流抵抗のなかった部分
の抵抗値が上がります。20回ぐらい分岐した部分の気流抵抗が高くなると
全体的に気流抵抗が高くなり、呼吸困難の度合いも増すことになります。
健康人が通常の呼吸を繰り返すときは、吸って吐いた後を止めた状態があり、
次の呼吸まで時間的な余裕があります。しかし、COPD患者は先述のように
呼吸困難な状況であり、吐くのに時間がかかるため、次の呼吸までの余裕がありません。
そのため、労作時のようにたくさんの酸素を必要とし、呼吸数も増加し、
その間隔が短くなると、吐ききれずに肺内にどんどんたまっていきます。
これがCOPD患者が肺の過膨張を起こす理由です。
安定期のCOPDの管理には、長時間作用性抗コリン薬もしくは長時間作用性β2
刺激薬の使用が推奨されています。単剤では効果が弱いと思われる場合には、
長時間作用性抗コリン薬と長時間作用性β2刺激薬の併用が推奨され、
テオフィリンの追加投与が考慮されます。

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