クリニックからのお知らせ

■★高血糖時のみ働く新薬★
糖尿病は様々な合併症を起こす。主な合併症には、網膜症や腎症、神経症などがあり、
自覚症状はあまりなく、知らないうちに病気が進行してしまう。糖尿病には1型と2型があり、
遺伝的な要因もあるが、主に2型は糖質や脂質のとりすぎといったアンバランスな食事や
運動不足などの影響が大きい。糖尿病の治療で思い浮かぶのは、
血糖値を下げるインスリンを注射する療法だが、最近は血糖降下薬と呼ぶ薬も登場し
インスリンと併用することもある。日本では2009年から、インクレチン関連薬と呼ぶ
新しい血糖降下薬が使われ始めた。インクレチンは胃や腸などから分泌される
ホルモンの総称だ。血糖値が高くなると消化器からインクレチンが出て膵臓に働きかけ、
血糖を分解するインスリンが分泌される。インクレチンは食事によって
血糖値が高まった時にしか分泌されないのが特徴だ。糖尿病の人はインクレチンが出にくいことがわかっている。
現在主流となっているSU薬などは、血糖値の高低にかかわらず働く。低血糖になったり、
長時間使うと膵臓の働きを弱めたりするなどの問題があった。インクレチン関連薬は
こうした副作用が起こりにくいとされる。インクレチン関連薬には「DPP-4阻害薬」「GLP-1受容体作動薬」
がある。DPP-4は体内でインクレチンを壊す酵素で、同阻害薬はその働きを抑えることで
インスリンの分泌を促す。口から飲むタイプだ。日本では09年12月にシタグリプチン(一般名)
が発売されたのが最初で、現在までに4つの薬剤が登場している。GLP-1はインクレチンの一種で、
分解されにくいように製剤にしたものが同作動薬だ。体重の増加を抑える効果があり、
肥満の患者向けに注射で投与する。10年1月にリラグチルド(同)が初めて承認され、
12月に6月に3番目の新薬となるリキシセナチド(同)の承認申請が出た。
今年6月の米国糖尿病学会(ADA)で、インスリンと併用すると、過去1〜2ヵ月の血糖値を示す
ヘモグロビンエーワンシー(HbA1c)の値が下がった、という発表があった。
インスリンとの併用療法も効果が期待できる。
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