クリニックからのお知らせ

■★線維筋痛症★
全身に原因不明の痛みが走る「線維筋痛症」。全国で200万人が苦しんでいるとの推計がある。
この病気の治療薬として、鎮痛薬「リリカ」に公的医療保険が使えるようになった。
ただ、眠気やめまいなどの副作用もあり、使い方には注意が必要だ。患者は、女性が約8割を占め、
40〜50代が多いという。全身に痛みがあるものの、体に炎症などはなく、画像診断でも異常はみられず、
診断は難しい。日本線維筋痛症学会は昨年7月、患者を診断する指針を改訂した。米国リウマチ学会の
基準にもとづき、全身に18ヶ所ある痛みを感じる点を一定の力で押し、複数の痛みがあるか、
患者の痛みの訴えを点数化するなどして診断する。患者は、脳や脊髄で痛みを伝える物質が過剰に放出され、
健康な人ならば痛みを感じない程度の弱い刺激でも強い痛みを感じる、と考えられている。
リリカはこの物質の放出を抑えることで、痛みを和らげる。リリカは6月、公的医療保険が使えるようになった。
現場でみていると、おおむね6割程度の患者に効果があるのではないかとみる。しかし、この薬、子どもでは
保険が認められていない。調査では、10代以下で発症している患者も、2108人中143人確認された。
痛みに加え、慢性疲労感、低体温、睡眠障害などを訴えるケースが多い。子どもではもともと薬の効果は薄いという。
両親の離婚や転居など心的ストレスが発症のきっかけになっていることもある。患者は女児が多く、面談すると
母親との葛藤が背景にあるケースが多いという。親と離すことで痛みが改善する例もある。
面談を重ねるなど、成人とは違うアプローチも必要だ。成人でも、薬に頼らない治療法の研究も行われている。
患者のなかにはうつ症状を合併している例も多い。この療法による一定の効果は認めつつも痛みはとれたが、
不安が強くなった、という例もあり、適応は慎重に検討すべきだ。原因不明の痛みや精神に関わる病気では、
ひとつの症状がおさまると、別の症状が強くなることがよくあるという。まずは、痛みやうつ症状の背景にある
生活環境などを丁寧に聞き、解決していくことも大切だ。
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