クリニックからのお知らせ

■★ボトックスの美容利用★
2012年11月、A型ボツリヌス毒素製剤「ボトックス」(商品名)が腋窩多汗症(えきかたかんしょう)
の保険治療に使えるようになった。腋窩多汗症は体質や病気など様々な要因で交感神経が正常に働かなくなり、
汗腺から必要以上に汗が分泌されてしまう。これまでは手術しかなかったが、ボトックスを注入することで
メスを使わずに治療できるようになった。ボトックスは食中毒の原因で細菌兵器にも使われるボツリヌス菌の
毒素を薄めて使う。この毒素は神経細胞に働き、神経の末端から分泌される伝達物質のアセチルコリンを出にくくする。
アセチルコリンには交感神経末端で発汗を促す働きがあり、この物質をブロックすることで症状の改善を狙っている。
すでに世界の80カ国以上で、まぶたがぴくぴく動いて垂れてくる眼瞼痙攣などの治療に使われている。
日本では1996年に眼瞼痙攣で保険適用されたほか、これまでに5つの病気の治療が認められている。
一説には、保険でボトックスを使った人は10万人を超えるとも言われる。問題はボトックスを顔のしわ取や
目を大きくするといった美容に使う人が多いことだ。もちろん保険が使えない自由診療になり、
費用は全額患者が負担する。顔のしわ取りで10万円前後が相場と言われる。ボトックスは毒素などで、
注意深く扱わなければならない。例えば顔のしわを取る場合、眉間に(みけんに)ボトックスを注入することが多い。
副作用は少ないとされるが、アレルギー反応が出たり、注射した付近の筋力低下による影響があったりする。
ボトックスの働きは3〜6ヵ月しか持続せず、そのたびに注射しなければならない。治療にあたる医師は一定の
講習を受けて認定されないと、製薬会社はボトックスを供給しないようにしている。安さをうたっている美容外科医は
粗悪品を個人輸入している可能性がある。安いボツリヌス製剤は管理上の問題があり、品質にバラツキが多いという。
今回承認された重度の原発性腋窩多汗症への適応拡大は、ボトックスを美容に使うはしりになるかもしれない。
もちろん「重度」の患者を対象にしているが、気になる話ではある。
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