クリニックからのお知らせ

■★甲状腺がんついて★
年に8千人以上が甲状腺がん。大半は進行がゆっくりで、診断10年後の生存率は
9年以上と高い。がんは一般的に早期発見、早期治療が基本だが、甲状腺がんは、
長期間、様子をみることも少なくない。被ばくも原因となるため、
東京電力福島第一原発事故による影響も心配されている。甲状腺がんの診断は超音波検査が
基本だ。しこりの形などの特徴をみれば、悪性の疑いもあるか、ほぼ診断がつくという。
甲状腺がんの家族がいる人や、しこりが急に大きくなった場合には、悪性の恐れがあり、
詳細な検査が必要になる。集団検診などの触診や超音波検査で見つかったしこりのうち
悪性の割合は約4〜16%だった。甲状腺がんは、亡くなった後に解剖して初めて、
甲状腺がんとわかるケースもあり、高齢女性では2〜3割に見つかるとの報告もある。
患者は女性が男性の3〜5倍も多い。危険因子は肥満と被爆で、それ以外ははっきりしていない。
甲状腺がんの9割を占める乳頭がんで、診断10年後の生存率も約95%と高い。
ただし、甲状腺がんの1〜2%は「未分化がん」と呼ばれ、急激に悪化し、治療成績もよくない。
他のがんは若いほど進行が速く悪性度が高くなるが、甲状腺がんは違う。高齢になるほど
悪性度が高くなる。未分化がんになるのは50歳以上。治療の基本は手術で、がんの場所や大きさにより、
甲状腺をすべて摘出したり部分切除したりする。周囲のリンパ節も同時に取ることが多い。
ただし、甲状腺がんは、手術で得られる利益と手術に伴う不利益をよく考慮して、
手術の実施や時期を判断する必要がある。一般的にがんは早期発見、早期治療が基本だが、
甲状腺がんは事情が違う。手術で甲状腺のちかくにある発声に関係する神経を傷つけるなどの
合併症が起こる可能性はゼロではなく、甲状腺を全摘すれば、定期的な甲状腺ホルモンの補充も
必要になるからだ。甲状腺がんは、放射性ヨウ素の被爆でも起こるため、東京電力
福島第一原発事故で、福島県は子どもの甲状腺検査を行っている。今後も甲状腺検査などで
経過を見守っていく必要がある。

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