クリニックからのお知らせ

■★唾液の力★
普段、我々は唾液の役割など何も考えずに生活しているかもしれないが、唾液の分泌が減って
口の中が乾いたときは、食事が飲み込みずらいなどの不自由を感じることがある。
無意識のうちに分泌される唾液には、実は様々な役割があり、今回はその唾液の働きについて触れてみたい。
唾液は3つの大唾液腺と小唾液腺から分泌される。大唾液腺は、耳の下にある耳下腺、下顎の下にある顎下腺
舌の脇にある舌下腺がある。小液腺は、唇の内側、頬の内側、口腔の天井である口蓋などにある。
そして、比較的サラサラとした成分の多い物から、粘つきのある成分の多い物が、時間帯や体調、
生活状態の必要に応じて分泌されている。唾液の分泌は自律神経により調節され、1日1?前後の分泌がある。
食事を開始すると反射的に唾液の分泌が増えるが、食事を見たり、匂いを感じたり、連想したりするだけでも
反射的に分泌が増える。役割としては、かみ砕く、飲み込む発音などの口腔機能を活性化する湿潤作用、
食物を軟らかくする作用、消化作用、粘膜を保護する作用、口の中を洗浄する作用など、潤滑剤のような
働きがある。このほか、虫歯の発生を防ぐ作用、歯を保護する作用、口腔内を感染から守る抗菌作用、
歯の再石灰化作用、粘膜の傷を修復を助ける作用なども、大切な役割だ。このような様々な働きのすべてを
人工的に満たすことは、いまだできていない。ただ、唾液は口を良く動かすことやガムなどで
分泌を促すことはできる。唾液の役割を意識しつつ、普段から食事に時間をかけて、よくかんだり、
丸のみをせずにもぐもぐと動かしたりすることを心がけてはいかがだろうか。唾液は簡単に採取できるが、
唾液を検体とした検査で、実際の診療に応用できたものはわずかである。それは、分泌される唾液の量や
成分が時間帯や体調などで変わるほか、口腔粘膜からはがれた細胞、口腔内微生物、微生物の産生物質などが
混じりこんでしまい、純粋な唾液を採取することが難しいからである。唾液の研究は奥深く、
まだまだ途上のようであり、今後も研究が進むことを期待したい。
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