クリニックからのお知らせ

■ピロリ菌について
胃がんは、年間約11.7万人(2005年)に発症しています
1000人当たりに約1人が発症していることになります。
胃がんを発症する約56%がアジアの地域に住む人々で、発症率(罹患率)でみると韓国、
日本、中国の順に多いのです。なぜ、日本を含む東アジアで胃がんが多いかというと、
ピロリ菌の感染率が高いことと、塩分接種量が多いことが原因と考えられています。
胃の中は胃酸で強酸性の状態になって通常ほとんどの細菌は胃酸により殺菌されてしまいますが、
ピロリ菌はこの粘液の中に潜り込みます。そして、粘液中の尿素をウレアーゼという
酵素で分解してアルカリ性のアンモニアを産生し、自分の周囲の胃酸を中和します。
ピロリは胃の粘液をうまく利用して胃の中に住んでいます。
ピロリ菌がどのように感染するのかは、まだ完全に分かってはいませんが、
世界的にみると、衛生環境が悪いと感染率が高い傾向にあります。
ピロリ菌に汚染された水が感染源になると考えられています。
また、ピロリ菌に感染している親が口移しで子供に食事を与えることでも感染すると
考えられています。このようなことから感染しやすい時期は、乳幼児といわれています。
ピロリ菌が胃粘膜に存在すると、胃粘膜を傷つけます。産生するアンモニアなどが
胃粘膜を傷つけると考えられています。感染したピロリ菌は、
胃粘膜に住み着きます、その後、持続して胃粘膜が傷つけられることになります。
これが慢性胃炎で、ピロリ菌が定着していると必ず起こる変化です。
時間の経過とともに、ピロリ菌は増殖して周囲に段々と広がっていきます。
それとともに、慢性胃炎の範囲も段々と広がっていくのです。
これが委縮性胃炎です。ピロリ菌による胃粘膜の傷害がさらにひどくなると、傷を治すのに
胃の細胞では間に合わず、腸の細胞で傷を治し始めます。これが腸上皮生です。
この状態は前がん病変であり、胃がんの危険性が増加するのです。
ピロリ菌は消化性潰瘍(胃潰瘍、十二支潰瘍)の2大原因のひとつであり(もうひとつは、消炎解毒鎮痛剤)、
日本人の胃潰瘍の75%、十二指腸潰瘍の95%は、ピロリ菌が原因となっています。
また、胃マルトリンパ腫、胃過形成ポリープもピロリ菌による慢性胃炎から発生することが多いのです。


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