クリニックからのお知らせ

■★糖尿病の網膜症について★
糖尿病で不具合を生じやすい網膜や腎臓、末梢神経にはいずれも細い血管が分布する。
高血糖が続くと血液の流れが妨げられ、それぞれ機能が低下したり構造が損なわれ
たりする。網膜は目の奥にあり、受けた光を電気信号に変えて脳に伝える視力の源だ。
糖尿病で網膜に起きる異常を「網膜症」と呼び、最初は網膜の毛細血管が変形して
小さなこぶが突き出たり、血液がしみ出したりする。単純網膜症の段階だ。
進行すると血管がつまり、網膜に酸素などが運ばれにくくなる。これを解消しようとして
新しい血管ができてくる。増殖網膜症と呼ばれる時期だ。新生血管と呼ぶ若くてもろい
この血管は、急に出血したり周囲に現れる膜と一緒にはがれて網膜剥離を起こしたりして
最終的には失明することもある。やっかいなのは網膜症があっても視野の中心に異常が
ない限りほとんど気付かないことだ。治療では中心部以外の網膜をレーザー照射で
点々と焼く。何回かに分けて数百発以上実施する例が多い。必要とする酸素の量を
減らして新たな血管を出にくくする。軽い視力低下が起きるが全体の進行を抑えられる。
硝子体(しょうしたい)手術という方法もある。眼球の中の大半を占めるゼリー状の液が硝子体だ。
白目に作った穴からの操作で、眼球内の出血を取り除いたり、網膜との癒着を切り離して
網膜剥離を防いだりする。硝子体は手術で人工の液体に置き換わる。網膜症は糖尿病を発症して
5〜10年で起こる例が多い。高血糖が原因なので予防の第一は血糖値をきちんと保つこと、
第二に血圧の管理だ。しかし増殖網膜症やその前段階で急に血糖値を下げたり
運動をしたりすると、出血などで網膜症が悪化するケースがあり要注意だ。
治療の向上で網膜症による失明は減ってきてはいるが、現在も大人の視覚障害の大きな
原因だ。糖尿病には他にも白内障などがあり、視覚障害による身体障害者手帳交付数では、
18歳以上の1割強が糖尿病を原因とするものだ。網膜症は目の奥のことなので眼鏡などで
矯正できない。定期的な眼科検診が大切だ。
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