クリニックからのお知らせ

■★不眠が続くときは★
生命体にとって、生命維持のために非常に重要なものが2つある。
ひとつは食べること。当然ながら不可欠なエネルギー源である。
そしてもう一つが睡眠だ。食事がエネルギーの「補給」なら、睡眠の役割は心身の
「点検・補修」といってもいいだろう。睡眠中は自律神経の働きで体と脳が
休息をとり、様々なホルモンが大量に分泌されることで体の疲労回復や傷んだ部分の
修復が促される。さらに、免疫関連物質が血中に増加してウイルス増殖を抑える。
風邪のとき、栄養をとってぐっすり眠ると早く治るのは、こうした補給・点検・補修
という一連の機能によるところが大きい。不十分な睡眠が続くと、生活習慣病の
リスクが高まるほか、脳の疲労回復も不完全になるためメンタルヘルスにも悪影響を
与える。現在不眠のある人はない人に比べ、3年以内にうつ病を発症するリスクが
4倍になる、という海外の研究報告もある。不眠症を自覚したときにどうするか、
欧州や南半球の外国では不眠症の者の40〜50%が医療機関を受診するのに対し、
日本では受診が10%以下。その分「アルコール飲用で対応」が30%と調査中で最多で、
アルコールが不眠解消の第一選択である国民性が示された。この寝酒、実は睡眠の質を
大きく低下させる。確かにお酒は寝つきを促し、直後には深い眠り(ノンレム睡眠)
が現れるが、アルコールが体内で分解され始めると浅い眠り(レム睡眠)がメイン
となり脳は休まらない。さらにアルコールには依存症もある。また、不眠の対処として
早めに就床し、眠れないままの人がいる。眠ろうとする努力が脳を緊張させ、
結果うまくいかない。早寝に挑むよりも、遅寝早起きで同じ時間に起床することが
体内時計の修正に効果がある。起床して光を浴びるとスイッチが入り、
その15〜16時間後に脳内の睡眠物質メラトニンの分泌量が増え、一日働いた脳が
「点検・補修」を欲する。起床時間を定めるとおのずと就寝時間が定まるのだ。
不眠の自覚のある人は、寝酒と起床時間に気をつけたい。
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