クリニックからのお知らせ

■★糖尿病と遺伝★
日本人の糖尿病の9割を占める2型糖尿病は生活習慣病の代表格。遺伝の影響は
どのくらいあるのだろう。生活習慣が犯人かと思いがちだが、そう単純でもないらしい。
人類が飢餓にさらされていた大昔、栄養をため込むよう人に備わった倹約遺伝子が、
食生活が豊かになった今も働き、糖尿病などが増えたという仮説がある。
こうした遺伝子を探す大規模研究が2007年ごろ始まった。約70個の遺伝子がみつかり、
糖尿病になりやすい遺伝子タイプをもつと血糖値を下げるインスリンの分泌や効きが
悪くなると考えられている。遺伝と遺伝以外の要因がどうかかわるのか、
残念ながらわかっていません。遺伝子一個の効果は弱く、最も強い場合でも、
1.3倍なりやすくなる程度だ。一つをみて判断するのはナンセンス。
70個集めても遺伝の影響の1割しか説明できていない。一方で、家族が糖尿病なら、
遺伝の可能性はあるという。双子の一方が糖尿病の場合、もう一方が発症するリスクを
調べた欧州の研究では、遺伝の影響が3~4割を占めると推定されている。親や兄妹に
糖尿病の人がいれば、発症するリスクは、いない人より2~2.5倍高い。
もっとも、家族は食事や生活習慣が似ているので、遺伝だけとは言い切れない。
夫婦を調べたスウェーデンの報告では、そうでない場合より3割以上高かった。
生活習慣も大きいことを示している。遺伝子は変えられなくても、生活習慣を改善すれば
効果があるのだろうか。糖尿病になりやすい遺伝子タイプを持つ人が食事や運動などに
注意すると、発症率はもたない人と同程度になり、遺伝子のリスクが帳消しになった。
糖尿病の引き金になるのは、肥満や喫煙、運動不足、ストレスという。
体重を2キロ減らすと、ざっと遺伝子一個分のリスクを減らすことになる。
さらに日本人は欧米人に比べて太ってなくとも発症しやすい。
家族に糖尿病の人がいれば、遺伝子を調べなくても気をつけたほうがいい。
Topページに戻る