クリニックからのお知らせ

■★糖尿病による神経障害などについて★
高血圧が続くと起きる網膜症や腎症とならんで、末梢神経の
神経障害も出現する。どれも古くから分かっている糖尿病合併症で、
普通は神経障害が最初に現れる。末梢神経には感覚神経、運動神経と自律神経が
あるが、いずれにも発症する。感覚神経の症状はしびれと痛みだ。神経は末端ほど
血液や栄養分が届きにくく、通常は足先や足の裏から起こり、徐々に上がってくる。
症状はほぼ左右対称で、素足なのに足の底に紙を一枚はさんだように感じたり、
長く座って足がしびれたときのぴりぴり感に似た感覚があったりする。冷感やほてり
触っても感じ方が鈍いなどの症状も出る。進行すると手の先にも異変が現れる。
そのような段階では、足は画びょうやくぎを踏んでも痛みが分からなくなるほどに
知覚が鈍くなる。傷に気付かずそこから細菌が入って感染するケースもある。
高血糖が長く続いたあと急激に血糖値を下げると、神経痛が出て、眠れないほど痛む
ことがある。血糖値は徐々に改善していくことが重要だ。ただ、もともとの血糖値が
それほど高くなければあまり心配しなくてよい。治療後神経痛の苦痛は大きいが、
最近では新薬も開発されている。運動神経障害の症状は最初目立たないが、
進行すると筋肉の萎縮や筋力低下が足先などから始まる。ときには眼球を動かす
「外眼筋」に情報を伝える神経が急に侵されて、物が二十重に見えたりもする。
自律神経の症状も多様だ。下痢や便秘、立ちくらみをはじめ、尿が膀胱にたまっても
尿意を感じにくかったり、排尿後も膀胱に尿が残ったりする。汗が減ったり出すぎたり
また勃起しにくくなるという症状もある。神経障害は高血糖によって細い血管の
流れが妨げられるのが原因だ。さらに、血糖値が高いと、余ったブドウ糖が
神経細胞内の代謝にも影響を及ぼす。予防と治療は血糖値の管理が第一で、
飲酒や喫煙も神経障害のリスクだ。糖尿病を10年患うと半数近くに神経障害が起きる
ことが報告されている。神経障害は糖尿病合併症の先駆けだ。警鐘と考えたい。

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