クリニックからのお知らせ

■糖尿病の治療中断について
糖尿病は患者とその可能性のある人を合わせると2000万人を超える国民病だ。
しかし、痛みなどの症状に直面していないからと、通院をやめ治療を中断する
例も目立つ。そのまま放置すれば静かに進行し、重症化して視力が低下したり
腎臓の機能が下がったりする深刻な症状が表れる。患者の心がけも重要だが、
医師も患者の行動を見守り、受診中断が起こらないよう働き掛ける必要がある。
中高年に多い一般の糖尿病は、食事の取りすぎや運動不足に遺伝的要因などが
加わって発症する。インスリンの働きなどが下がり、血糖値が高い状態が続く。
血管への影響が大きく、目の網膜や腎臓など細い血管がある組織や、心臓などの
太い血管に異変が起こる。発症すると根本的に治すことはできず、重症になると
失明、人工透析、足の切断などを余儀なくされる。合併症が出るまでの期間は
年齢や血糖値などで異なるが神経や目で7〜8年腎臓で15年という。逆に言えば、
最初のころに目立った症状がないのがこの病気の特徴だ、そういう段階でも
運動や食事に気を配ることが重要になってくる。それで血糖値が改善しないなら
飲み薬や注射薬で血糖値を正常範囲に近づける。数週間〜2ヶ月に1回、通院して
状態を確認することが大切だ。通院していれば、血糖値が上がってもタイミング
よく別の治療ができる。ところが、1年間に受診を中断する患者が8%おり、
珍しくないことがわかった。受診しないまま2ヶ月以上過ぎた例を中断という。
受診を中断すると合併症の程度が重くなるとの調査結果もある。1年以上治療を
中断した人は続けた人より合併症がひどくなっていた。自覚症状がないだけに、
患者が受診を中断するのも無理はないと考えるべきだ、医師側の認識も変える
必要性がある。
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