クリニックからのお知らせ

■★潰瘍性大腸炎★
潰瘍性大腸炎は国が指定する難病だ。発症しても命に直結するケースはまれだが
腹痛や下痢、血の混じった便が出るなどが主な症状。トイレに何度も駆け込まなくて
はならないなど生活の質(QOL)の低下を招きやすい。同じ炎症性腸疾患である
クローン病が小腸や大腸など様々な消化管がただれてしまうのにたいし、潰瘍性大腸炎
は大腸に炎症やただれが起こる。病気の原因は不明だが、病原体から身を守る免疫の
バランスが崩れ、大腸に生息する細菌なども作用し炎症などを繰り返すと推測されて
いる。患者の男女比は半々で、欧米人の発症頻度は日本の5〜10倍。動物性たんぱく質
や脂肪を多く摂取する食生活や、ストレスが影響するとの指摘もある。基本的に遺伝は
心配いらない、治療はまず薬。薬で効果があるのは患者の約6〜7割にとどまる。
最も使われる薬は「アミノサリチル酸製剤」軽症なら炎症を沈め再発も予防できる。
効果が不十分なときは免疫を調節する薬も使われる。それでも抑えきれないときは
ステロイド剤などを用いる。炎症抑制効果は高いが、生体内で働くホルモンを外から
投与するので副作用にも注意が必要。高血圧や高脂血症、骨粗しょう症、子供の場合は
低身長などを招きやすい。ほかにも選択肢はある。免疫調整剤などだ。潰瘍性大腸炎は
治療の選択肢が多い日本が世界をリードしている。これらの治療で症状が安定すれば
食事も普通にとれる。直腸炎型というタイプを除き病気になって7年以上たった
患者は大腸がんのリスクが高まるので。内視鏡検査を毎年受けてほしい。一方、
経過が良くない場合や大量の血便で命の危険がある場合は外科手術で大腸を摘出する。
若い患者が多いため妊娠出産をためらう例も少なくない。まずは自分の治療を最優先し、
症状が落ち着き半年以上たってからの妊娠を勧めている。この病気の薬の大半は妊娠中でも
安全性が比較的高いと考えられており、出産後も薬の多くは服用しながら授乳ができる。
潰瘍性大腸炎は落ち着いた状況をできるだけ維持するのが大切。規則正しい生活や
ストレスをためないなど患者の心がけが重要だ。再発しても患者が治療に専念できるよう
職場・学校の理解や支援も欠かせない。
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