クリニックからのお知らせ

■★お酒を無理して飲むリスク★
アルコールが体内で分解されてできる「アセトアルデヒド」には発がん性が
あります。この物質を無害の酢酸に分解するのが、2型アセトアルデヒド
脱水素酸素(ALDH2)です。この酸素の遺伝子には正常型と欠損型があり、
両親からともに欠損型を受け次いだ「完全欠損型」は日本人の約5%にみられます。
お酒がまったく飲めないので発がんリスクが上がる心配もありません。
両親からの遺伝子がともに正常型の場合、アセトアルデヒドが体内に蓄積しにくく、
がんの危険は少ないといえます。白人や黒人のほとんどがこのタイプです。
欧米ではお酒が飲めない人はまれで、飲酒による発がんの問題は日本ほど切実では
ありません。反面、飲みすぎが問題となっており、アルコール中毒が多いという
現実があります。両親からの遺伝子のうちどちらかが一方が欠損型なのが
「部分欠損型」です。日本人の約45%はこのタイプで、顔が赤くなるものの
そこそこは飲めます。東洋人の3〜4割は占めています。こういう人がたくさん
お酒を飲むとがんの危険が高まります。実際、部分欠損型の人が大量に飲み続けると、
飲まない人に比べて食道がんのリスクは10倍近く高くなるというデータがあります。
特に、このタイプの人が3合以上のみ、同時にたばこを吸う人の場合はリスクが
30倍になるともいわれます。逆に、このタイプの人がお酒を1合程度に控えるだけで
日本人の食道がんが約半分に減るという計算もあります。自分がどのタイプなのかは
「遺伝子検査」をすれば分かります。まったくの下戸の人は完全欠損型だといえます。
また、すぐに顔が赤くなる人や飲み始めて1〜2年はビールいっぱいで顔が赤くなった
経験を持つ人は、部分欠損型と考えてまず間違いありません。たばこと違って「間接飲酒」
がないのが救いですが、飲酒による社会的損失はがん増加のほか、2日酔いによる
労働生産性の低下などを含めると4兆円を超えると、厚生労働省の研究班は見積もって
います。これは喫煙による社会的損失に近い金額です。
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